深刻さを内に秘めたメガバンクの中間決算(2006/12/19)
三菱東京UFJ銀行が9年ぶりに自民党に対する政治献金を再開する。みずほフィナンシャルグループも追随する方針だ。三菱東京UFJ銀行の畔柳頭取は、企業としての社会的責任を果たすための献金だと主張しているが、銀行利用者からは反発の声が上がっている。国民の税金で経営を救ったのに、経営が立ち直った途端に利用者への還元のないまま、政治献金の再開へと向かったからだ。
銀行側は、手数料の引き下げで利用者にも還元を行うとしている。例えば、三菱東京UFJ銀行は07年3月から平日昼間のコンビニ内ATM手数料を無料にする。他のメガバンクも同様のサービスを検討しており、銀行がまったく利用者還元を考えていないわけではない。いままで、重い腰をあげなかった銀行が、動きはじめた最大の理由は、中間決算で過去最高益が出たからだろう。実際、三菱UFJ、みずほ、三井住友、りそな、住友信託、三井トラストの6大銀行グループの最終利益は、合計で1兆7346億円と、前年同期を0.3%上回っている。
しかし、本業の儲けである実質業務純益は、6大銀行グループ全体で1兆5968億円と前年同期を23・4%も下回っている。本業でこれだけ利益を減らしているのに、なぜ最終利益が過去最高となったのか。その理由は2つある。
1つは、りそなホールディングスの繰り延べ税金資産の計上が、これまでの1年分から他行なみの5年分へと増やされたことだ。これによって、りそなの利益が2659億円かさ上げされた。
もう1つは、貸し倒れ引当金の戻り益が6大グループ全体で3077億円発生していることだ。これは景気回復で引当金が不要になったために発生したものではない。何故なら三菱UFJが1922億円、みずほが1077億円と、この2行だけで戻り益の大部分、2930億円を占めているからだ。もし景気回復で戻り益が出ているのであれば、他行にも同様の戻り益が出るはずだ。住友信託と三井トラストは戻り益がゼロになっている。竹中金融担当大臣の時代に、きびしい検査を受けたUFJとみずほに集中して戻り益が発生しているということは、両行が積まさせられた引当金が、そもそも過大だったということだ。
上記の2要因を踏まえると、今回の過去最高益の中間決算は、竹中金融行政の反動で一時的に利益がでているに過ぎないということになる。
それでは、なぜ実質業務純益が大きく減少してしまったのか。それは間違いなく日銀のゼロ金利解除の影響だ。06年7月に行われたゼロ金利解除に合わせて、大手銀行は預金金利を引き上げた。普通ならば、預金金利を上げた分は、そのまま貸出金利に転嫁される。ところが、貸し出し競争が盛んで、転嫁ができなかったのだ。
つまり、大手銀行の経営基盤は、日銀がたった0.25%金利を引き上げただけで、ガタガタになってしまうほど、まだぜい弱だということなのだ。
しかも、今後を考えると、さらに大きな問題がでてくる。日銀の福井総裁は、再利上げのタイミングを聞かれるたびに、「いかなる可能性も排除しない」と答えて、早期の再利上げ実施に対する強い決意を示している。
私は、日銀がこれ以上の金利引き上げをしてこないケースも十分ありうると考えている。しかし、エコノミストの3分の2は、07年3月までの再利上げを見込んでいる。もし、日銀が本当に再利上げをしたら、銀行の決算は大幅に悪化する。最高益のお祭り騒ぎの裏側で、大手銀行の経営は、かなり危険な状況に追い詰められているのだ。
〜ビスタニュースより〜
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